
薄毛というと、どうしても男性の悩みと考える人が多いですが、必ずしも男性だけの問題というわけではありません。女性が薄毛で悩むことも少なからずあり、様々な原因によって、多種多様な症状を表しています。そのような女性の薄毛の問題は、皮膚科において治療を受けることが可能です。
女性にありがちな薄毛の種類とその治療法について紹介します。
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正常な毛のサイクル
髪の毛は一度生えたならば常に伸び続けるわけではありません。一定のサイクルで生まれ変わり、新しい毛と古い毛が入り混じっている状態が健康な頭皮ということができます。生えてきた毛は、成長期と呼ばれるどんどん毛が伸びる時期に入り、これが4から6年程続いた後に、2,3週間ほどの退行期を経て抜け落ちるものです。
その後休止期に入り、新たな毛が生えるというサイクルを繰り返しており、このサイクルが乱れていなければ、薄毛になることはありません。
薄毛というものは、何らかの理由によってこのサイクルが乱れた状態のことを言います。
女性の薄毛の原因
男性の薄毛にホルモンバランスが関係しているように、女性の薄毛もホルモンバランスが関係しています。女性が薄毛になってしまう大きな原因は、女性ホルモンであるエストロゲンは、髪が健康的に生えるために重要なホルモンであり、このホルモンのバランスが崩れることによって薄毛になってしまいます。
また、自律神経が乱れることも原因とされています。エストロゲンの分泌量が変動すること、自律神経が乱れる理由は多種多様です。女性の場合は、無理なダイエットや貧血、妊娠をはじめとして、ストレスなどが関係しています。
ホルモンバランスや自律神経が乱れると、頭皮への血行が滞り、栄養が行き渡らずに薄毛となってしまいます。これらの薄毛は、様々な治療法があり、皮膚科でも治療を受けることが可能です。皮膚科で治療を受ければ、治療途中で起こる皮膚トラブルにも対応してくれるので、様々なメリットがあります。
びまん性脱毛症
女性に多い薄毛のひとつとして知られているものがびまん性脱毛症です。びまん性の名の通り、頭皮の一部分が薄毛になるのではなく、頭皮全体が薄毛になっていくため、生え際や髪の分け目などといった部分の薄毛が特に目立ちます。
びまん性脱毛症の一番の原因は加齢といわれています。しかし、若い人であってもストレスや睡眠不足、ダイエットのほか、経口避妊薬、過度のヘアケアなどで引き起こされることは多いです。
ひこう性脱毛症・脂漏性脱毛症
頭皮のトラブルによっても薄毛は発症します。頭皮トラブルによる薄毛の代表がひこう性脱毛症と脂漏性脱毛症です。ひこう性脱毛症は頭皮環境が悪く、フケが大量に出て毛穴をふさぐことによって、脂漏性脱毛症は皮脂が多量に出ることによって、毛穴をふさいだり炎症を起こしたりして、発生する脱毛症です。
頭皮環境が不潔な場合や反対に過度のヘアケアを行った場合に引き起こされます。薬物による治療やヘアケアの方法の見直しといった治療方法がなされるでしょう。
産後・分娩後脱毛症
必ずなるわけではありませんが、分娩出産を終えた後に薄毛になる女性もいます。これを産後脱毛症、あるいは分娩後脱毛症と呼んでいます。出産の後、女性のホルモンバランスは急激に変動します。これによってヘアサイクルが崩れることで起こる脱毛症です。
一時的なものであり、半年から1年ほどして自然治癒することもありますが、育児などでストレスがたまり、ヘアサイクルが戻らないとどんどん進行して治らないということもあります。その場合は皮膚科での治療が必要となります。
牽引性脱毛症
牽引性脱毛症とは、身体の内側の変化が関係して起こる脱毛症ではありません。外部からの要因によって引き起こされる脱毛症です。髪の毛が常に一定方向に対して引っ張られていたり、刺激をうけていたりすると、頭皮が引っ張られて、刺激を受け続けている頭皮の一部分の毛が抜けてしまうことがあります。
髪の毛をいつも同じポニーテールにしている場合などには注意が必要です。髪が短かったとしても、バイクに乗ることが多く、ヘルメットをかぶる時間が長いなどといった場合にも起こりえます。髪型を定期的に変えたり、頭皮にかかる刺激をやわらげたりすることが必要です。
円形脱毛症
女性だけではなく男性も、そして若い人から年配の人までなる可能性のある脱毛症のひとつが、円形脱毛症です。円形脱毛症の原因ははっきりとしていませんが、免疫をつかさどるリンパ球の働きが異常をきたしたことによって引き起こされる自己免疫疾患のひとつと考えられています。
ストレスやアレルギーなどによって引き起こされると考えられており、皮膚科に行けば内服薬や外用薬の治療をすすめられます。
治療の流れ
女性薄毛の悩みによって皮膚科に行くと、いきなり治療に入るということはありません。まずは、カウンセリングを受けて症状を突き止めることから始まります。様々ある脱毛症の中から特定するためには、検査を受けなければなりませんが、その検査の内容と判明した場合に受けることができる治療方法の説明も行われるでしょう。
検査内容も様々あり、血液検査や血圧検査、血中成分の検査などを行うことになります。検査によって判明した脱毛症に沿った治療法を、医師が判断して相談しながら治療を行うこととなります。基本的には、発毛を促し、育毛を手助けして、抜け毛を防止するという流れです。
薬物治療
皮膚科の治療で行われる治療法の代表的なものが内服薬や外用薬を使用した薬物治療です。内服薬は、通院の回数を少なくするメリットがあり、毛髪の育毛促進をはじめとして脱毛を防ぎ、毛の質を改善させる効果があります。
外用薬は患部に塗布することによって、脱毛を防ぎ育毛を促す効果があるとされています。
適切なヘアケア
皮膚科で行われる治療は薬物治療だけではありません。適切なヘアケアの指導を行うことも多いです。薄毛に悩んでいる人は、薄毛の改善のためを願って頭皮を洗いすぎたり、逆に洗髪を少なくすることもあります。これらは却って薄毛の進行につながることもあり、改善させるためのヘアケア指導が行われます。
適切な洗髪の頻度や洗髪の方法をはじめ、適した洗髪剤の指導なども行います。
生活習慣の改善指導
薄毛は無理なダイエットや睡眠不足、運動不足などといったものでも引き起こされます。
どのような生活習慣が薄毛につながっているのかをカウンセリングから把握して、生活習慣の改善指導を行うことも皮膚科で行われる治療のひとつです。
カウンセリングによって、患者のライフスタイルなどを把握して、可能な範囲の生活指導を行います。
その他の治療法
その他にも様々な治療方法があります。成長因子により毛根を活性化して発毛を促すHARG治療をはじめ、オゾン処理した血液を体内に流すオゾン血液療法、頭皮に直接栄養を注入する育毛ダーマペンなどが有名です。